第62回
2010年8月1日号
政党CMと投票行動
  • 2010年7月11日に行われた参議院選挙において、各党のテレビCMが投票行動に及ぼした影響について整理します。

    第22回参議院議員通常選挙は2010年7月11日に投票が行われました。各党は自分たちに投票を呼びかける様々な活動を行いましたが、今回はその中でも政党によるテレビCMの効果について分析をしてみます。
    関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)でテレビCMを実施したのは民主党、自由民主党、公明党、みんなの党の4党でした。テレビCMの放送量(GRP)を比較すると民主党が2041%、自由民主党が1779%と与党と最大野党の放送量が多いことが確認できます(表1)。

    図1は放送量の多かった民主党と自由民主党について、時間帯別の放送量を比較したものです。19〜22時台の放送量は両党とも同程度ですが、民主党は12〜17時台に多くの放送をしていることがわかります。一方で、自由民主党は23時台の放送量が高くなっています。これはFIFAワールドカップの番組中に、自由民主党のテレビCMが放送されたためです。

    では、両党のテレビCMは有権者の投票行動にどのような影響をもたらしたのでしょうか。テレビCMの目的として、特定の支持政党を持たないいわゆる「無党派層」に、自党への投票を促すことが挙げられます。そこで、選挙権を持つ20歳以上の無党派層2,046サンプルについてテレビCMの影響を分析してみました。
    党毎に、テレビCMの視聴回数について「あまり見なかったグループ(視聴回数9回未満)」と「よく見たグループ(視聴回数10回以上)」に分け、それぞれの党に投票した割合を整理したのが図2、図3です。図2は比例区、図3は選挙区での投票した割合を示しています。

    図2の比例区についてはテレビCMの影響は確認できません。比例区においては、テレビCMで投票先に影響を与えるのは難しいのかもしれません。一方で選挙区については、テレビCMの視聴回数が高いグループで投票した割合が高くなっています。民主党における差は統計的に有意ではありませんが、自由民主党については統計的に有意な差((有意水準5%、片側検定)が生じています。比例区に比べ候補者の顔が見えやすく、投票先と当落結果の関係が分りやすい選挙区でこそ、テレビCMの影響があらわれやすかったのかもしれません。