Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2014

審査結果・レポート公開中

実施レポート

マーケティング分析コンテスト2014 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2014」の最終審査会が2014年12月19日、野村総合研究所本社にて開催された。8度目の開催となった今回は、過去最多の62件のレポートがあつまり、予備審査を通過した20作品による激論の審査会となった。

第8回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とするプロモーションを実施した。レポート提出は昨年の51作品を大きく上回る62作品となり、過去最大となった。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、最大級の応募数であろう。

さまざまな専門領域から多くの参加があり、ビックデータへの関心が拡大するとともに、ひとつひとつの応募作品のレベルも非常に高まっていた。単にデータを集計するだけではなく、問題提起から結論の目新しさなどストーリー展開への工夫が多くみられ、甲乙つけ難い作品が寄せられた。

さて、今回も例年どおり11月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、20組の作品が最終審査に進んだ。今回もすべての審査員が推薦する作品はなく、審査員それぞれが個々の視点によって判断いただいたようだ。

最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価が行われた。ひとつひとつの作品のクオリティが高まったためか、無難な作品というより、尖がった視点や手法などに注目があつまり、審査員どうしでの問答も多くおこなわれた。

その後、最終投票がおこなわれ、最優秀、優秀、佳作の3作品が選出された。

最優秀賞には、慶應義塾大学大学院 商学研究科 前期博士課程1年 河塚悠氏による「OTC医薬品(便秘薬)広告の有用性測定OTC医薬品で「健康なカラダ」を手に入れる!」が選出された。着眼点が非常によいだけでなく、発送もユニークであった。また、導かれた結果についても納得性があり、考察についても丁寧ということで、最優秀の名に相応しい総合力での受賞となった。

優秀賞には、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士1年 田中渚子氏による「シングルソースデータが可能にする広告効果測定・広告戦略策定について-ベイジアンネットワークを活用したグラフィカルモデリングと確率推論-」が選出された。ベイジアンネットワークを利用した分析として評価が高く、データから仮説-検証をおこなっている点に好感がもたれて。結果の解釈に若干、発散がみられるものの丁寧な論文に支持があつまった。

佳作には、立教大学 経営学部 経営学科 4年 柴田慎平氏による「消費先端層の広告効果の解明」が選出された。イノベーター分析はよくある手法ではなるが、デモグラだけでなく購買行動まで広げたところが興味深く、引き出した知見についてもビジネスへ展開できる、という点が選出の理由となった。

審査会終了後、各審査員からは「作品のレベルが高く、選定基準をだいぶ高くする必要があった。昨年であれば、優秀作品になるかな、というものであっても、本審査どまりのものも多い」との声が寄せられた。審査委員長からは「今年も学生を中心に多くの作品が集まったが、このコンテストへの参加だけで終了するのではなく、これをきっかけに、より深い分析やより多くの仮説・検証を試みる学生が増えているようだ。今後、企業でも“ビッグデータ”を扱う場面が増えることが予想されるため、彼らがますます活躍する機会が増えることであろう。」ということで、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2014」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • 「OTC医薬品(便秘薬)広告の有用性測定-OTC医薬品で「健康なカラダ」を手に入れる!」

    慶應義塾大学大学院 商学研究科 前期博士課程1年 河塚 悠

審査員コメント

「医薬品(便秘薬)への着眼は独自性が高い。問題意識の説明が高水準であり、多様なデータを利用している。便秘薬+ヨーグルトの組み合わせによる分析も興味深く、見出された知見は有用で、考察も豊かである。」

「多面的に分析しているだけでなく、導出された結果について、先行研究などと比較しながら丁寧な考察を行っている。」

受賞者のコメント

この度は素晴らしい賞にご選出頂き誠に有難うございます。

難しい分析は行っていないので、今回の経験を生かし、まだまだ精進していきたいと思います。御指導頂いた里村卓也教授をはじめ、御提言頂いた方々に心から感謝致します。

First Prize

優秀賞

  • 「シングルソースデータが可能にする広告効果測定・広告戦略策定について-ベイジアンネットワークを活用したグラフィカルモデリングと確率推論-」

    慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士1年 田中 渚子

審査員コメント

「ベイジアンネットワークを駆使して、データから仮説を導出し、また、それを丁寧に検証している。」

「意思決定プロセスをきちんとベイジアンネットワークで導き出しており、よい。リアルとSNS系で分析対象がわかれているのも、わかりやすい。」

受賞者のコメント

この度は選出いただき、誠にありがとうございます。貴重なデータを分析させていただき、大変勉強になりました。今回の経験を活かし、今後もより精進してまいりたいと思います。

Second Prize

佳作

  • 「消費先端層の広告効果の解明」

    立教大学 経営学部 経営学科 4年 柴田 慎平

審査員コメント

「先端的消費者への着目は、伝統的ではあるが意義深い。特定セグメントへの注目に終わらせず、購買行動へも検討を拡大した。交互作用までケアできている研究は少ない。引き出した知見も実践的。」

「着眼点が明確であり、情報感度の高い消費者への働きかけの分析として、一定程度の成功をおさめている。」

受賞者のコメント

栄誉ある賞に選出いただき有難うございます。様々な方のご助言の結果であり、サポートいただいた皆様に御礼申し上げます。研究のプロセスでは躓くことも多々ありましたが、貴重な学びとなりました。結果に満足することなく更に精進に努めてまいります。

最終候補作品

  • 「リッチ商品を有する企業の 消費者属性を考慮した広告施策」

    慶應義塾大学 理工学部 丹羽 亮人

  • 「購買意向と購買履歴の新規購買予測力比較」

    株式会社アークエンジン 代表取締役 石田 実

  • 「比較広告は購買促進に有効か? ―ペプシネックスゼロの事例―」

    東北大学 経済学部 辻 智康

  • 「ビール系飲料市場における 購買行動分析と広告効果に関する研究」

    青山学院大学大学院 理工学研究科 藤田 一樹

  • 「消費者の購入意向と購入実態の変化に着目した 広告効果の有効性に関する考察」

    法政大学 デザイン工学部 米窪 崇史

  • 「AIDAモデルに基づいた化粧品における顧客状態遷移の要因分析」

    慶應義塾大学 理工学部 高 暁菲

  • 「購買情報の受発信リテラシーに長けた マーケット・メイブンへの効果的な到達」

    中央大学 商学部 栗田 学

  • 「炭酸飲料におけるプロモーション効果」

    BBT大学大学院 小林 宏至

  • 「購買意図があるのに購買につながらないのはなぜか? ~消費価値観やメディア接触との関連性~」

    上智大学 経済学部 志村 駿

  • 「テレビ番組視聴特徴とインターネット利用方法の関係性分析」

    東京理科大学 工学部 岡田 りか

  • 「複数財選択を考慮した場合のメディア媒体の有効性」

    関西大学 経済学部 今後 一茂

  • 「CGM マルチ利用レベルと嗜好・消費特性の分析調査」

    株式会社インクアンドペーパー 松尾 知哉

  • 「初期状態を考慮したCGMと企業発信情報が 消費者の態度変容に及ぼす影響の考察」

    筑波大学大学院 野上 光

  • 「共分散構造分析を利用した 広告影響力の分析」

    株式会社ムーンスター 天本 芳和

  • 「CMはどのように消費者のAttentionを獲得できるのか」

    九州大学 経済学部経済経営学科 藤原 宏貴

  • 「健康食品の類型から見た 消費者属性」

    専修大学 ネットワーク情報学部 齋藤 亜沙美

  • 「女性消費者の属性と消費スタイルの決定における広告の効果」

    関西大学 経済学部 大川 りほ