アフターコロナで消費者はどのように変わったのか
コロナで変化した生活行動
シングルソースパネルの時系列データ分析から、消費価値観、消費行動、ライフスタイルなどについて、コロナ禍を通して日本の生活者がどう変わってきたか、消費活動の形に変化はあったのかをこの記事でまとめていく。コロナ禍に入ってから、宿泊者数は2020年にかけて大きく下落していましたが、2023年の夏頃には外出レジャー(旅行など)はコロナ禍前と同等の活況を見せている。しかしながら、全般的な消費活動はまだコロナ禍前の水準には戻り切っていない
図1: コロナ前後での宿泊者・消費指数の推移

出所)観光庁 宿泊旅行統計調査
総務省統計局 家計調査
消費者の消費傾向の推移をみると、急な巣ごもり生活で需要が増えたネット通販は元の水準に戻ったことがわかる。一方で、買い物のスタイルや休日の楽しみ方がコロナ前後で変わったため、コンビニやショッピングモール、デパートの利用は戻っていない。例えば、コンビニはまとめ買いの定着によって、利用頻度が低下し苦戦を強いられている。エンタメ×買い物の融合領域であるショッピングモール・デパートも不調が続く。
図2:コロナ前後での消費傾向の推移

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
戻る消費・戻らない消費
前述の通り、コンビニや自販機での消費はコロナ前後で減少しており、水準は回復しないままである反対にカードローンや資産運用など生活基盤の見直しに関わる消費は、外出自粛時に伸びており定着は定着している。自粛気のストレス発散に関連するコンフォートフードの商品需要や、健康食品はコロナ前の水準に戻りつつある。
図3:カテゴリ別の消費実態

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
※季節の影響を避けるため各年1~8月平均で算出
外食はコロナ禍時に予想されていたとおり、コロナ禍が終わったことで消費が戻りつつある。しかし、コンサート・海外旅行などは物価高の影響も受け、コロナ禍後に期待されていたほどのリベンジ消費は起こっていない。
図4:アフターコロナにおける消費者の支出意向

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
コロナ禍の働き方として、テレワーク実施率は大幅に増加し、2020年5月には45.5%まで上昇したが2023年9月時点では32.2%まで減少している。一方でテレワークを毎日実施していると回答している人の割合は2020年6月時点からあまり変動は起きておらず、働く環境による差が生じている。
図5:テレワーク実施率(関東)

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
消費価値観の変化と情報収集行動
コロナ禍では値段が高くても自分のお気に入りにこだわるプレミアム消費が高まっていたが、2023年に入ってからその傾向は収束している。消費に対する、こだわりの追求が薄れ、「安さ」や「利便性」を重視した消費が増加している。自宅でゆったり過ごすことが少なくなり、コロナ前の日常に戻りつつあることの影響が出ていると考えられる。
図6:消費4象限の変化(2019年/2021年/2023年)

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
※季節の影響を避けるため各年1~7月平均で算出
コロナ禍では「価格が品質に見合っているかどうかをよく検討してから買う」や「商品を買う前にいろいろ情報を集めてから買う」人の割合が増加していたが、2023年に入って減少している アフターコロナで仕事や余暇に忙しくなり、時間をかけられなくなっていることから当初の水準に戻る傾向が見られる。
図7:消費価値観の変化(2019年~2023年)

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
※季節の影響を避けるため各年1~7月平均で算出
コロナ禍と2023年夏の商品情報の検索行動を比較すると、お菓子・化粧品・家電において、SNSの口コミを参考にする人が増加している。反対にSNS以外の口コミや知人・友人からの口コミを参考にしている人は減少している。_x000B_日常の生活が戻ってきたことで、余暇時間が少なくなり、手軽に情報を収集できるSNSでの情報探索が選ばれやすい傾向にある
図8:コロナ禍と現在における検索行動の変化

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
SNSでの情報収集は、効率よく求める情報にアクセスできるところが最も評価されており。タイパ意識の高まりが伺える。また、実際の商品の使用・利用方法を知ることができる点や画像や動画をもとに実際の商品を見ることができることも評価されている
図9:SNS上で商品・サービスの情報を得る上で良いと感じている部分

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
SNSを用いた情報収集は特に20代などの若年層で高まっている。Google検索等で口コミやレビューを検索する割合は年代差があまり見られないがSNS上でハッシュタグを用いて検索するのは若年層が主流である。
図10:商品・サービス購入時の口コミ確認行動

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
サマリー
コロナ禍が終わっても生活者の消費行動はコロナ以前の水準まで回復していない。その要因として、物価高や円安等の影響だけでなくテレワーク率の低下など生活環境の変化によって余暇にかけれる時間の低下が考えられる。
その結果生活者の情報収集傾向に変化が生じており情報をじっくり調べるよりも、情報収集の効率性を重視する傾向が高まっている。コロナ禍で高まっていたライフスタイルにこだわる志向よりも利便性と効率性を求める志向へ変化していると言える。
図11:アフターコロナにおける消費行動の変化・要因と情報収集行動の傾向


