2017年8月 1日

フリマアプリ「メルカリ」が支持される理由

最近、テレビや雑誌でよく見聞きする"フリマアプリ"。大手の企業がこぞってCMを放映したことから、認知は急速に広がっています。実際に最大手アプリであるメルカリの認知率は、83.5%まで達しています(出典:野村総合研究所 シングルソースデータ 2017年5月実施 関東エリア 男女20~60代:N=2,181)。

フリマアプリとは、インターネット上でフリーマーケットのように物品の売買が行えるスマートフォン用アプリのことです。ネットオークションとも混同されがちですが、入札により価格変動があるオークション形式と異なり、価格が固定で取り引きがスムーズである点が利点のようです。

さて、そのフリマアプリですが、最大手のメルカリは2016年に日経MJで「ヒット商品番付」にも選出されており、ユーザー数も拡大中とのこと。どのような方がメルカリを利用しているか見てみると、月一回以上の利用率は全体で8.8%となり、10人に1人程度が使用しています。中でも20代の女性で21.4%、30代の女性で15.6%と特に利用率が高く、若年層女性を中心に利用が進んでいるようです。

メルカリ 月一回以上利用率

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出典)野村総合研究所 シングルソースデータ 2017年5月実施(関東エリア 男女20~60代:N=2,181)

安さを重視して、よりも、欲しいものを探して利用

では、メルカリをよく使用する人は普段どのような消費価値観を持っているのでしょうか。フリーマーケットと聞くと、安くお得にモノを買おう、といった「コスパ重視」のイメージがありますが、実際には「安くて経済的なものを買う」「価格が品質に見合うかを検討する」といった「コスパ」に対する意識はそこまで高くありません。

むしろ「高くても利便性・品質の良いもの」「好きなものは高価でも買う」など、"価格よりも、本当に欲しいものや必要なものを買いたい"という考え方が強いようです。

メルカリ利用者は「安さ」よりも「欲しいものがあるかどうか」を重視しているのかもしれません。

消費に対する価値観(20・30代メルカリ利用者と非利用者の比較)

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※月一回以上利用を利用者と定義

出典)野村総合研究所 シングルソースデータ(関東エリア 男女20~60代:N=2,526)

いかにトップシェアを保ち続けるか

「欲しいものがある」ことは、イコール「掲載商品数が多い」ということです。また、「掲載商品数」は、「ユーザー数×ユーザーあたりの出品数」で説明することができます。ユーザー数を伸ばし、ユーザーあたりの出品数を増やすことが、「欲しいものがある」状態を作り出すといえます。メルカリは、競合に先駆けいち早くマス広告で出稿することで、フリマアプリでの第一想起を高め、「ユーザー数」を増やすことに成功しています。また、取り引きの仕組みを"かんたんに""スムーズに"することで、「出品数」を増やすための仕掛けを施しています(HPからも"かんたんな取り引き"に力を入れていることがわかります)。結果として、メルカリのユーザー数は2017年6月時点で5000万ダウンロード(出典:メルカリ社2017年6月30日プレスリリース)で、かつ、毎日100万品以上の商品が出品されるまでに至っています。このように、「ユーザー数」と「出品数」を増やし「掲載商品数が多く」「欲しいものがある」状態を作り出したことがメルカリの支持されている理由といえるのではないでしょうか。

さて、現状フリマアプリナンバーワンの「メルカリ」ですが、今後重要となるポイントは「いかにトップシェアを保ち続けられるか」です。ユーザー数を急拡大させたメルカリは、反面、いくつか問題のある出品も見られるようです。トップシェアを保ち続けるために、多くのユーザーが安心して、快適に、欲しいものを探せる。そんな状況を提供し続けることで、ユーザーを維持していくことが、今後の成長ポイントなのではないでしょうか。

(森田 光一)