データ提供・活用

詳細

広告シミュレーションモデルの開発

主に、NRIが保有するシングルソースデータを活用して、広告に関するシミュレーションモデルを開発します。

シングルソースデータは年間を通じて広告出稿の状況を把握しています。このデータと広告効果測定の結果をもとに、広告の出稿を最適化するためのシミュレーションモデルを開発します。

モデル開発は以下のステップで進めます。

(1)出稿量に応じたリーチの計算
各メディア別に、単位出稿量あたりのリーチを計算します。例えば、1GRPあたりのテレビCMの接触、雑誌・新聞のビークル別の接触、Web広告のページビューやユニークユーザー数などを計算します。また、シングルソースデータを使うことで、これらのメディアの重なりについても把握し、クロスメディア率、総合リーチなどを計算します。

(2)広告の出稿形態別に広告の効果の計算
次に、各広告に接触した場合の効果を推計します。テレビCMの接触頻度別の効果、雑誌広告の純広・タイアップ別の効果、交通広告の掲出位置別の効果など、細かな出稿のニーズに応じて、それぞれの効果を推計します。

(3)広告に接触した場合の効果の計算
すべての広告について、自社の効果測定の結果があれば、そのデータを活用することができますが、当然、不足しているデータもあります。その場合は、各社の効果測定の結果や、業界の平均値などを用いて、欠けているメディアの効果を推計します。

(4)メディア別リーチ×メディア別効果による総効果の計算
メディア別の出稿量に応じた総効果を計算するモデルを開発します。(1)で計算したリーチと、(3)で計算した効果を掛け合わせることで総効果を計算することが可能です。

このモデルをもとに、様々な効果(認知、以降、ブランド力など)をシミュレーションできるモデルを開発します。また、実験計画法を用いたメディアの組み合わせのシミュレーションを行い、クロスメディア視点による出稿パターンの最適化を検討します。

シミュレーションは、予算一定の場合のメディアの最適配分、売上げ目標に応じた最低限必要な出稿費用の計算、長期的な利益を最大化するためのメディアの最適配分など、様々な視点が考えられ、各企業のニーズに応じたシミュレーションを実施し、分析結果を報告します。

広告シミュレーションモデル

テレビCM、雑誌広告、バナー広告などの各広告の出稿量を代入することで、最終的な広告の効果を推計するためのモデル。出稿量を代入することで、生活者のリーチの状況を把握し、それぞれのメディアに接触した場合の効果を掛け合わせることで、最終的な効果を算出。また、出稿量に応じたコストを計算することで、「ROI」(購入者増分1人あたりの広告費)を計算することも可能。

クロスメディアの視点によるメディア最適化

3つのメディアの組合せ最適化を図るためのモデルを構築。

総コストが一定で、当初案から、単純にテレビCMの出稿を増やした場合や、テレビCMの出稿を減らして雑誌広告の出稿を増加させた場合の効果を推計。1人あたりの購入意向を高めるためのコストを計算することで、最も効率的なメディアの組合せを検討。

4P統合シミュレーションモデルの開発

マーケティングに関する「4P」の視点をすべて反映したマーケティングモデルを開発します。広告(Promotion)だけではなく、製品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)の影響も考慮したマーケティングモデルを構築します。モデル開発は以下のステップで進めます。

(1)売上・シェアの構造分析
はじめに、売上・シェアの推移を分析し、変動要因を把握します。特に、季節変動、時系列要因などを明確にし、実際に売上、シェアに影響を及ぼす要因を明らかにします。また、商品・サービスのステージに応じた効果についても考慮します。

(2)各社が保有しているプロモーション以外のデータの分析
NRIのシングルソースデータを使うことで、プロモーションに関連したデータについては把握できます。このデータに、各社が保有する商品力・商品評価に関するデータや、価格が売上に及ぼす影響に関するデータをなどを追加します。

(3)各社データとNRIデータのマッチング
ミクロ視点のシングルソースデータと、各社が保有するマクロデータのマッチングを行います。また、過去に蓄積されたシングルソースデータを時系列データ化して分析することで、各社のデータ不足を補うことも可能です。

(4)4Pと売上・シェアの関係分析
ここでは、はじめに、マーケティングモデルの基本となるデータの標準化(偏差値化)を行います。次に、目的変数(売上、シェア、ターゲットシェアなど)の設定を行い、4Pの各要素と売上げ・シェアの相関分析や、4Pの要素間のシナジー効果の分析などを行い要因を特定します。

(5)シミュレーションモデル・システムの開発
最後に、シミュレーションモデルのシステムを開発します。インプット、アウトプットの項目を整理し、どのような形でモデルを活用するのかを決めます。出力レポートフォーマットを整理し、迅速に分析結果が出力されるようにします。これらのモデルを開発するためには、誰もが簡単に利用できるシミュレーションモデルにすることが重要で、そのためには、大規模なシステム投資を行うのではなく、エクセルやアクセスベースでのモデル開発を主眼において進めます。

4P視点によるシェア拡大の要因分析モデル

該当した期間におけるシェアの増加幅について、マーケティングの4Pによる影響力を数値化したモデル。

アウトプットはウォータフォールチャートで整理し、シェアの増加に影響を及ぼした要因をわかりやすく整理。下記では、テレビCMの広告施策と、配荷・陳列などの店頭施策がシェア増に大きく寄与したことがわかる。一方で、価格はシェアを減少させる方向に働いた。

マーケティングROIの計算

マーケティングROI(Return On Investment:投資収益率)」とは、マーケティング戦略の効率性を表した指標で、その活用が注目されています。しかし、マーケティングROIを計算するためには、以下の様な課題があります。

  1. マーケティング活動の目的(R)が明確になっていないこと
  2. マーケティングROIを測定するためのデータが整備されていないこと
  3. マーケティング活動により創出された売り上げや利益を把握しきれないこと
  4. 「打ち手」につながる分析ができていないこと

特に、データが整備されていないことが致命的な課題で、コンサルティングファームなどの各社が提供してきたマーケティングROIは、計算の仕方がブラックボックスで、具体的な戦略につながらないものが多数存在していました。特に、各施策別の効果が計算できないため、施策別のマーケティングROIを計算できなことが大きな課題でした。

NRIのシングルソースデータは各施策別の効果を明確することができます。そのため、戦略につながる具体的なマーケティングROIを計算することができ、各施策の効率性を分析することができます。

マーケティングROIの計算方法

マーケティング・ダッシュボードの開発

NRIが保有するデータと各社が保有するデータを体系的に整理し、マネジメントするためのシステム開発を支援します。データについては、重要度に応じて段階をつけて表示をします。

マーケティング・ダッシュボードには、以下のような機能があります。

  1. Alerting:データを日常的に監視し、問題があれば注意を喚起する機能
  2. Analyzing:データを分析し、戦略を立案するための機能
  3. Targeting:過去のデータの推移から目標となる水準を決定する機能
  4. Reporting:データを整理し、社内に報告するための機能
  5. Searching:過去の戦略の中から効果的だったものを探し出す機能

マーケティング・ダッシュボードについては、その目的に応じて、マーケティングに関するすべてのデータを取り込んだシステム開発から、データと機能を絞り込んで簡易的に開発するものまで様々です。各企業のニーズ・スピード感・予算などに応じて適切な規模のマーケティング・ダッシュボードを構築します。

NRIが保有するシングルソースデータにしぼった簡易的なマーケティング・ダッシュボードについてはエクセル版ダッシュボード開発を参照してください。

マーケティング・ダッシュボード(イメージ)

トラッキング(定点観測)データの提供

マーケティングのデータを管理するためには、必ずしもマーケティング・ダッシュボードのようなシステム開発が必要なわけではありません。日々のマーケティングリサーチの中で蓄積されるデータを、グラフや表形式などの簡単な形で整理するだけで新しい発見を生み出すこともできます。

NRIが実施しているシングルソースデータは、プロモーションの事前と事後で評価することで、マーケティング戦略の効果測定としてご活用いただくことがすべてではありません。この調査は1年間実施しているため、この調査を活用することで「定点観測」のデータとして活用することも可能です。同じ形式で、同じ調査を定期的に実施することで、時系列の変化から課題を抽出することも可能です。NRIでは、シングルソースデータ調査の基盤をもとに、このような定点観測に関するデータも提供します。

トラッキング(定点観測)データの提供

時系列トレンドの比較によるアラート

メディア接触データの提供

NRIでは、シングルソースデータ調査の中で、各生活者のメディアの接触状況を把握するとともに、各商品・ブランドの出稿実態についても把握しています。テレビCMが放送された時刻・チャンネルだけではなく、雑誌広告の場合は、出稿があった雑誌のタイトル・号数、ページ数、出稿内容(純広、タイアップ、記事など)についても把握しています。また、バナー広告についても、どのページに、どのような形で広告の出稿があったのかについても把握しています。

このデータを活用することで、メディア接触について、以下のような視点でデータを提供します。

  • 自社商品の出稿状況(特に記事やPRなどの出稿実態)
  • 競合他社のマス広告での出稿状況
  • 話題の商品のPRでの取り上げ状況(テレビ、雑誌、Webなど)
  • 各出稿別の接触状況(リーチ)
  • メディア横断での接触(クロスメディア、総リーチ)

広告の出稿・接触のアクチュアルデータ提供

マスメディアへの出稿が当初の予定通りに出稿されていたかどうかを確認するためのデータを提供します。NRIではすべてのメディアの接触状況を把握しているため、実際の出稿状況についてのデータも提供することができます。

例えば、テレビCMは想定したターゲットに対して、実際に出稿されていたのか、また、どれぐらいの視聴率・リーチ・フリークエンシーを獲得できたのかを把握し、その結果を提供します。バナー広告などは、実際の出稿先などが不透明な場合も見られますが、シングルソースデータを使うことで、具体的な出稿先・出稿量についても把握できるため、目的としていた箇所に出稿できたのかなど、具体的な出稿の管理にもご活用いただけます。

PR露出配信サービス

自社のPRの露出状況については、PR会社などを活用することで把握する場合が多いと思います。このサービスは、事前に企業名、ブランド名、商品名などをご登録いただくことで、競合品も含めて、どのようなPR露出があったのかについて、テレビ番組での取り上げを中心に、レポートをするためのものです。

例えば「ヨーグルト」などのように、検索したい言葉をご登録をいただくと、ヨーグルトに関連して取り上げがあったすべてのテレビ番組について、取り上げた番組のタイトル・時間・秒数・内容などについて、データを配信します。その番組が、どれぐらいの人に見られていたのかについても情報を提供できます。

このサービスは自動化されたサービスで、放送があった翌日には、どのようなPR露出があったのかについて、自動で配信されます。

以下のような利用を考えている方に最適なサービスです。

  • 自社が仕掛けたPRがどのような結果になったのかを即時に知りたい
  • 競合他社のPRの実態について把握したい
  • 自社・他社含めて、関連する商品やサービスのカテゴリーで、どのようなPRが多いのかを把握したい
  • マイナス表現での取り上げがあった場合に即時に対策を検討したい
  • PR取り上げの多いチャンネルや番組を把握し、PR戦略に活かしたい

目的に応じて、検索する言葉を自由に設定できることと、翌日には自動配信される即時性が、このサービスの特徴です。配信の方法は、Webサイト、メールなど自由に設定することが可能です。モバイルなどのメールアドレスに配信することで、外出先でも、適時適切に、PR出稿を把握することができます。

企業イメージ定点調査データの提供

NRIでは「3ヶ月に1回」の頻度で、主要企業の好感度やイメージに関するデータを収集しています。広告宣伝だけではなく、各企業に関する記者発表やニュース、PR活動などが、企業イメージに及ぼす影響を定点調査として把握しています。

1年に1回程度の企業イメージの調査では、大きなトレンドをつかむことはできますが、なぜ、そのイメージが変化したのかを把握することができません。NRIでは、3ヶ月に1回という短期間の頻度で調査を実施しており、このデータを活用することで、各イメージが変動した要因を把握することができます。競合他社のデータについても取得しているため、イメージの変化が業界の動向(好景気、消費税率アップ、原油高、法制度の改正など)によるものなのか、各社の個別の事情によるものなのかについても比較することができます。

以下のような利用を考えている方に適したサービスです。

  • 3ヶ月に1回チェックすることで、翌四半期の戦略に反映したい
  • 企業イメージが目指している水準に達しているかを確認したい
  • 競合と比べて、自社のイメージ変化で特徴的なものを把握したい
  • ニュースリリースなどが企業イメージに及ぼす影響を把握したい
  • PRなど番組や雑誌、Webでの取り上げられた効果を分析したい
  • マイナスの報道により企業イメージが悪化した場合に対策を検討したい
  • 同業他社を含めて業界全体でイメージの変化動向を把握したい
  • スポーツのスポンサーやCSR活動の効果を定点で把握したい

具体的には、以下の調査を3ヶ月に1回の頻度で実施しています。

  • 企業の好感度
  • 各企業の商品・サービスの購入・利用意向
  • 企業イメージ
  • 助成想起、第一想起
  • 基本的な個人属性

企業イメージの調査項目