Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2017

審査結果・レポート公開中

実施レポート

マーケティング分析コンテスト2017 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2017」の最終審査会が2017年12月15日、野村総合研究所本社にて開催された。11度目の開催となった今回は、過去最多水準79件のレポートがあつまり、予備審査を通過した優秀な作品に対する激論の審査会となった。

第11回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とし、コンテストへの参加を募った。レポート提出は過去最多水準79件となり、引き続き数多くのご応募をいただくことができた。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、引き続き国内最大級であるといえよう。

今年の特徴は、応募作品全体の平均レベルが高まっていることに加え、かつては最先端であった分析手法がいまや多くの作品において採用されており、審査員からは「分析手法では横並びの印象で、差別化が難しい。」という声が多く寄せられた。また、内容については、着眼点や設定した仮説の独自性、テーマに対して適切なアプローチがとられているか、などが議論に上がっていた。

今回も例年どおり11月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、最終審査作品を選定した。今年は例年に比べ、各審査員から選出された作品が分散しており、拮抗するレベルの中、各自が選定いただいたようだ。

最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価のもと、審査がおこなわれた。
その後、最終投票がおこなわれたが、レベルの高い作品の中の選考のため、受賞作品の決定には最後まで白熱した議論が行われた。最終的に、最優秀賞、優秀賞を1作品ずつ、佳作を2作品の選定となった。

最優秀賞には、株式会社インクアンドペーパー 松尾 知哉氏による「「コト消費とテレビ離れの増加」の中でCMの果たす意味(役割)を「動画配信サービス」と「ハーゲンダッツ」から探る」が選出された。コト消費というテーマ設定に加え、分析のための変数設定も評価ポイントで、結果を広告コンセプトの提案まで仕上げており、実務での応用可能性も受賞理由となった。

優秀賞には、法政大学 経営学部 星野 弘樹氏、上崎 柚華氏、八角 まみ氏による「栄養ドリンク剤の売上を伸ばす戦略の提案」が選出された。分析ストーリーに合わせて必要な変数を選んでくる進め方やシンプルだが丁寧な分析手法に評価が集まった。

佳作には2本が選出された。まず1本目は横浜国立大学 国際社会科学府 経営学専攻 博士前期課程 キョウ 暁虞氏による「消費者の態度変化におけるメディアの効果 -ファストファッション業界を例として-」が選出された。トライアル購買・リピート購買の分析視点や結論の妥当性が評価ポイントだった。

続いて、筑波大学大学院 システム情報工学研究科 社会工学専攻 博士前期課程 寺内 秀斗氏、高地 哲史氏による「新商品における広告効果分析~プリマヴィスタを例に~」が選出された。コンテスト対象期間中に発売された新商品を対象とした題材設定や分析の説得力が評価につながった。

審査会終了後、各審査員からは「今年は意見が割れており、プラスポイントの話よりもマイナスポイントについての議論が多かった。レベルが高まっており、差別化が難しかった」との声が寄せられた。審査委員長からは「今年は参加者のレベルが全体として高く、かつては最先端であった分析手法も、いまや多くの作品で採用されている。データ分析の手法やツールの発達に伴い、より容易に分析ができるようになっているため、応募者も一時に比べて、商学・経営系の顔ぶれが戻ってきた印象がある。一方、同様の分析手法を採用する作品も多く見られ、分析手法のレベルとしては甲乙がつけ難くなった。リサーチクエスチョン(調査仮説)や着眼点、結果の解釈など、レポート自体のストーリーがこれまで以上に差別化要因とされるようになった。」ということで、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2017」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • 「コト消費とテレビ離れの増加」の中でCMの果たす意味(役割)を「動画配信サービス」と「ハーゲンダッツ」から探る

    株式会社 インクアンドペーパー 松尾 知哉

審査員コメント

「着眼点がおもしろく、多面的に考察されている。分析結果も興味深い。」

「コト消費というテーマ設定の面白さ、展開(変数作成)の巧みさがある。途中少々強引な設定もあるが、生活者の趣味データと合わせて分析することで、広告コンセプトの提案にまで仕上げている。他にも応用できる実践的手続きといえる。」

受賞者のコメント

この度は貴重なデータを分析できる機会を与えてくださり、さらに最優秀賞という大変名誉な賞を頂き、誠にありがとうございます。これに慢心せず、一層の精進を重ねてまいる所存でございます。ありがとうございました。

First Prize

優秀賞

  • 栄養ドリンク剤の売上を伸ばす戦略の提案

    法政大学 経営学部 星野 弘樹、上崎 柚華、八角 まみ

審査員コメント

「栄養ドリンク剤に対象をしぼったことで、わかりやすい分析になっている。自分の分析ストーリーに合わせて必要な変数を選んでくる進め方は、このようなコンテストに臨むにあたり、お手本のように感じた。」

「シンプルだが丁寧に分析をしている。ブランド別の特徴が整理できており興味深い。」

受賞者のコメント

この度は優秀賞という素晴らしい賞に選出いただき、誠にありがとうございます。ご指導いただいた長谷川先生にも心から感謝いたします。今回の受賞を糧に、引き続き精進して参ります。

Second Prize

佳作

  • 消費者の態度変化におけるメディアの効果 -ファストファッション業界を例として-

    横浜国立大学 国際社会科学府 経営学専攻 博士前期課程 1年 キョウ 暁虞

審査員コメント

「オーソドックスな研究フレームであるが、分析も適切であり、理にかなった結果が確認されている。」

「トライアル購買、リピート購買という視点で分析した作品の中で最も良かった。分析の最新手法を追いかけている点も良い。」

受賞者のコメント

この度、素晴らしい賞にご選出頂き有難うございます。貴重なデータを分析させて頂き,非常に勉強になりました。これを励みに今後も研究に精進して参ります。そして、ご指導頂いた寺本先生とゼミのメンバーに心から感謝します。

Second Prize

佳作

  • 新商品における広告効果分析~プリマヴィスタを例に~

    筑波大学大学院 システム情報工学研究科 社会工学専攻 博士前期課程 1年 寺内 秀斗 高地 哲史

審査員コメント

「DID分析と二項ロジットモデルを使用して、どちらも同様の傾向が示されており、説得力がある。」

「データ対象期間中に発売された新商品を対象として、分析を行っている点が優れている。広告効果が出なかった40代について、深掘りしている点も良い。」

受賞者のコメント

この度は佳作に選出して頂き、大変嬉しく思います。
貴重なデータを分析させて頂き、大変勉強になりました。
この経験を生かし、今後より一層研究活動に励んでゆきたいと思います。

最終候補作品

  • 低関与商品のTVCM影響力に基づく市場構造分析

    京都大学大学院 経営管理教育部 経営管理専攻 2年 吉川大貴

  • 顧客に寄り添うマーケティング ~コンシェルジュ・プロファイリング~

    創価大学 経営学部 篠原和久 川畑咲絵、田中希望、大倉彩香

  • アンサンブル学習を用いた利益最大化を目指すプロモーション戦略の提案

    筑波大学大学院 システム情報工学研究科 藤原和樹

  • シングルソースデータを用いた「Dual AISAS Model」の実証分析とCM提案~ファストフード業界を例に~

    東北大学 経済学部 経営学科 遠藤寛也

  • 消費者の購買における企業広告の効果—製品広告、広告媒体間との比較を通じて—

    横浜国立大学大学院 国際社会科学府 経営学専攻 松岡紀歩

  • 購買行動変化の要因分析-ゲーム理論に基づく戦略アプローチ-

    筑波大学 理工学群 張瀚天、二神克也

  • 女性の消費価値観と化粧品と広告媒体の関係性

    秋田県立大学 システム科学技術学部 阿部奈々子

  • タイムシフト視聴による広告効果への影響に関する分析

    秋田県立大学 システム科学技術学部 高橋拓也

  • トクホコーラにおける広告の効果測定

    同志社大学 文化情報学部 4年 藤田良平

  • コーラ飲料におけるプロモーション効果の検証

    名古屋大学 情報文化学部 渡邊英梨花

  • CM出稿の詳細な効果測定方法の提案_戦略に生きる分析結果を求めて(ビールの事例)

    慶應義塾大学大学院 商学研究科 戸塚千裕

  • 消費者の無意識的思考型処理とリピート購買の関係 -6種類の製品カテゴリーによる実証分析-

    慶應義塾大学大学院 商学研究科 修士課程2年 多田伶

  • ネットとリアルの行動範囲の関係性 SNSヘビーユーザーと一般ユーザーの比較をもとに

    福岡大学 商学部商学科 4年 重松勇輝

  • 購買意向の向上の要因とCM出稿改善案の提案 ~ミレニアル世代の分析を通じて~

    中央大学大学院 理工学研究科 宇佐美俊

  • 階層ベイズモデルとベイジアンネットワークの融合モデルによるSNS接触と購買行動の関連の理解- チョコレートの購買行動を例として –

    慶應義塾大学 経済学部 経済学科 網頭翔真、打出紘基、藤本凌太朗、慶野有輝

  • 階層ベイズモデルを用いた広告接触と企業Webサイト訪問の関係性の分析

    筑波大学 理工学群 社会工学類 渡辺岳人、廣田菜月、島田颯己

  • 番組内のCMの位置が購買に与える影響

    早稲田大学大学院 商学研究科 河股久司
    株式会社リクルートライフスタイル 鈴木凌

  • 健康志向の消費者におけるCM理解度と広告効果に関する階層ベイズモデルを用いた分析

    神奈川大学 工学部 徳丸直輝、高野翔